東京都建築基準法施行細則 平成20年東京都告示第444号の改正について
~地下街における建築設備の定期検査項目等の改正を行いました。~
東京都都市整備局市街地建築部建築企画課
設備担当 課長代理 井口 丈弘

目次
1. はじめに
これまで国土交通省は、定期調査・検査等の高度化のあり方及びデジタル化のあり方について検討を進めてきたところ、定期調査・検査等の合理化や新技術の活用を可能とするため、建築物の定期調査報告における調査及び定期点検における点検の項目、方法及び結果の判定基準並びに調査結果表を定める件等の告示の一部を改正(令和6年国土交通省告示第974号(令和6年6月28日公布、令和7年7月1日施行))しました。
これは、特定建築物定期調査と建築設備定期検査の見直しにより、重複する調査・検査項目の解消や、特定建築物の調査項目の一部を建築設備の検査項目に移す等の調査・検査項目の合理化、また、ドローンを用いた目視の調査・検査や非常用の照明装置に組み込まれた自動検査機能の活用等の新技術を導入すること等を目的としています。
この改正告示を受けて、東京都(以下「都」という。)では、都建築基準法施行細則(以下「都細則」という。)及び都告示(平成20年告示第444号)を改正し、令和7年7月1日に施行しました。
本稿では、この改正内容と改正に伴う留意点等について解説します。
2. 国の定期報告調査告示等の改正について
令和6年国土交通省告示第974号(令和6年6月28日公布、令和7年7月1日施行)及び令和7年国土交通省告示第53号(令和7年1月29日公布、令和7年7月1日施行)により、建築物の定期調査報告における調査及び定期点検における点検の項目、事項、方法及び結果の判定基準並びに調査結果表を定める件等の見直しが行われました。
この改正では特定建築物における定期調査・検査項目との重複の解消や検査の合理化、並びに赤外線装置・可視カメラ・センサー等の新技術による調査・検査を想定した改訂が行われました。

3. 都の定期報告検査告示について
都では、建築基準法(以下「法」という。)第12条第3項において「特定行政庁が指定するもの」とされている特定建築設備等について、都細則にて知事が別に定めるものを指定しています。都細則第12条では定期報告の対象となる特定建築設備等として機械換気設備、機械排煙、非常用の照明装置並びに給水設備及び排水設備(給水タンク、貯水タンク又は排水槽を設けるもの)を指定しています。また、都細則第13条第1項において検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準を規定し、同第7項では報告書に建築物概要書を添付することを規定しています。これらを受け、都細則による検査の項目等 告示第444号(以下「都検査告示」という。)に検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準及び建築物概要書の様式が示されています(「平成20年東京都告示第444号、別表及び別記」参照)。
都検査告示第一第一号では遊戯施設における一部の検査項目について、「一年」とあるものは「六月」として、ここで遊戯施設の定期報告間隔を半年毎と定めています。
また、同第二号では「平成20年国土交通省告示第285号(以下「国検査告示」という。)に定めるところによるほか、別表(い)欄に掲げる項目に応じ、同表(ろ)欄に掲げる事項ごとに定める同表(は)欄に掲げる方法により実施し、その結果が同表(に)欄に掲げる基準に該当しているかどうかを判定することとする。」と規定されており、国検査告示に付加するかたちで、都検査告示により「地下街に設ける換気設備」、「地下街に設ける排煙設備」、「地下街に設ける非常用の照明設備」、「地下街に設ける非常用の排水設備」における検査方法や検査基準を定めています。これは、都内地下街の建築確認が伴う新築時や増築時には、東京都建築安全条例(以下「都安全条例」という。)第二節「地下街に設ける建築設備」における第73条の12(機械換気設備)、第73条の13(換気量)、第73条の14(専用の排気設備)等の規定により、設置した建築設備等を所有者等により適切に維持管理するとともに、その結果を特定行政庁である都に報告頂くための規定となっています。
4. 都検査告示の項目等の改正について
都では、国検査告示の改正を受け、都細則及び「東京都建築基準法施行細則による調査の項目等」(平成20年東京都告示第443号)及び「同細則による検査の項目等」(都検査告示)を令和7年6月30日に改正し、同年7月1日に施行しました。
改正内容は国の改正を踏襲していますが、都独自の措置として、「常時閉鎖式防火扉」については従来どおり特定建築物定期調査の対象とし、防火設備定期検査では報告を求めないこととしました。建築設備については、従来特定建築物において定期調査の対象としていた「物品の放置の状況」を建築設備の「換気設備」及び「非常用の照明装置」の検査項目にそれぞれ移行しました。また、「目視により確認する」としている項目について、「目視又はこれに類する方法により確認する」と改正しました。これら今回の主な改正点は以下のとおりです。
主な改正点
【改正ポイント①】
【改正ポイント②】
【改正ポイント③】
これらの改正内容は都都市整備局のホームページに掲載していますので、以下のリンク先よりご確認ください。
5. 留意事項
(1)地下街に設ける非常用の照明設備について
今回、国検査告示及び都検査告示改正では、自動検査機能を有し非常時のみLEDランプが点灯する非常用の照明装置については、検査終了後の機器の表示等により確認できる、とする合理化が図られました。ただし、都は都内に多数存在する防火避難上、不利な大規模地下街の安全性を確保するため、建築基準法施行令第128条の3第6項に基づき、同条第1項から第5項と異なる定めをするとともに、法第40条に基づき都安全条例により独自の定めをしています。これら地下街を都安全条例にも常時適合させるため、都検査告示により、都独自に検査方法、判定基準を追加しています。「地下街に設ける非常用の照明設備」の検査においては、防火避難上不利な地下街において、非常照明を確実に点灯させ、床面照度10ルクスという高い安全性が求められるため、当該部分の合理化は行っておりませんのでご留意ください。
(2)自然排煙設備の可動式防煙垂壁について
可動式防煙垂壁の作動の状況に関する定期調査・検査等は、特定建築物定期調査においては実施せず、建築設備定期検査のみで実施することとなりました。都では特定建築設備として自然排煙設備を指定していないため、自然排煙設備の可動式防煙垂壁については、建築設備定期検査の対象外としています。
(3)検査員資格について
都検査告示に基づく定期検査は、法第12条第3項に基づく定期検査と同様に、「建築設備検査員資格」等を有する必要があります。当該地下街の建築設備に詳しい管理者等であっても検査を行うことはできないので注意してください。
(4)避難口誘導灯の検査ついて
消防法施行令第26条等に基づく誘導灯は、建築基準法では、定期検査対象外となります。ただし、階段通路誘導灯の機能と非常用照明の機能とを兼用する器具は、定期検査の対象となりますので注意してください。
6. おわりに
建築設備検査員をはじめ、建築設備の定期検査に携われる皆様におかれましては、本改正内容を踏まえ、適切な定期検査報告を実施し、建築物の安全性向上にご協力いただけますと幸いです。
